流れ星を5個見つけるまでの時間
イラストは見た人が温かい気持ちになるものを描きたいと思っている。
今回描いたのは、自分のお盆休みの思い出を詰め込んだ、物語のあるイラスト。
8月12日、ペルセウス流星群を見に行った
地元の友人からグループメッセージで突然「今日の夜中見にいくっていうイベントどう?」というメッセージが送られてきた。メッセージにはペルセウス流星群についての小さなW E B記事が添付されてきた。
公園でレジャーシートを並べて寝転んで見ることを提案すると、「天才」というコメントが表示され、お盆休みで県外から帰省している友人と私の4人でペルセウス流星群を見にいくことになった。
子供が生まれたばかりで夜遊びのできない友人からは「ロマンティックだね。」「虫除けスプレー持っていけよ」というメッセージが届いた。
夜中に流星群を見に行くなんて、子供の時にみたドラマみたいだと思ってワクワクした。
小学校の時に遠足できた公園にたどり着くと夜中にも関わらず人がたくさんいて、世の中の人は、こんなに星に興味があるのかと驚いた。真っ暗な公園をスマホのライトを頼りに進んだ。
遠足の時にお弁当とお菓子を広げることができたレジャーシートは3枚並べても2人しか寝転ぶことができず、私たち4人は頭をだけ乗せて寝転がることにした。
流れ星を探し出すと急にみんなが黙り、鈴虫の声だけが聞こえた。
草と土の混じった少し甘い匂いがする。
静かだった4人の会話が誰かのお腹の音をきっかけに弾み出した。理科の授業で習った虚像と実像の話、国語の教科書に載っていた物語、卒業してから一度も会っていない先生の消息などのたくさんの思い出話の合間を縫って星が流れる。星が流れた瞬間に会話はやみ、4人は空を指差す。会話の続きは思い出せずまた沈黙が流れる。そして、いつの間にか会話が始まって・・・思い出と沈黙の間を星が流れていく。
流れ星も思い出話も取り留めもなくずっと流れていくので、帰るきっかけが見つからない。私は5個流れ星を見つけたら帰ろうと提案した。
流れ星を5個見つけるまでどんな話をしたかはあまり覚えていない。
思いつきで遊びに誘われて出ていくなんてどれくらいぶりだろう。学生じゃなくなってからは予定通りの計画通りの毎日を過ごしていた。
くだらない会話でずっとメッセージを送り合い計画にない時間を過ごした。大人になってからメッセージは必要事項とスタンプのみになっている。
20代後半に入り、自分の取り巻く人間関係が目まぐるしく変わった。縁が切れてしまった人もいるし、自ら離れたくて離れた人もいる。
それでも、無駄な時間を共有した友達とは、小さなきっかけで変わらない関係に戻ることができる。こんなふうに、小さなきっかけをくれる友人をこれからも大切にしたい。
スマホで撮影したこの日の星空の写真の上に犬のイラストを描いた。
思い出の星空と私の犬イラストとのコラボ。私の心を温かくしてくれるもの。
私自身がイラストを見てこの夜を思い出す小さな温かさが、このイラストを見ていただいた方にも伝わることを願って。
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